OCD 職場 配慮
強迫性障害(OCD)と仕事|「確認」の不安を減らし、スムーズに業務を進めるためのコツ
監修 アイデンド株式会社
はじめに
「鍵をかけたか不安で、家に戻ってしまい遅刻する」
「メールの送信ボタンを押すのが怖くて、手が震える」
「手が汚れている気がして、業務中に何度も席を立ってしまう」
強迫性障害(OCD)の辛さは、頭の中で鳴り止まない「不安のアラーム」と、それを消すための「儀式(確認行為)」に、生活の全てを支配されてしまうことです。
自分でも「バカげている」「やりすぎだ」と分かっているからこそ、誰にも言えず、一人で苦しんでいませんか?
しかし、その「こだわりの強さ」は、コントロールさえできれば、仕事の正確性という「武器」に変えることもできます。
この記事では、脳内の不安アラームを静め、仕事のパフォーマンスを取り戻すための具体的なテクニックをご紹介します。
相談の場でも、「確認しすぎる自分は仕事に向いていないのでは」と落ち込む声をよく聞きます。ただ、困っているのは真面目さそのものではなく、不安への対処が一人きりになっていることです。順番と仕組みを整えるだけで、働きやすさはかなり変わります。
- この記事でわかること:
- 無限ループする確認行為を断ち切る「指差し確認」の技術
- 職場での「不潔恐怖」と付き合うためのツール活用術
- 周囲に「正確性へのこだわり」としてポジティブに伝える方法
結論:確認の「ルール化」と「外在化」で、脳の不安アラームを静めよう
- 確認ルールの設定: 「確認は2回まで」「一箇所につき3秒まで」など、具体的な制限(ルール)を設ける。
- ツールの活用: チェックリストや写真撮影など、記憶に頼らない「記録」を活用して安心感を得る。
- 曝露反応妨害法の応用: 支援者と協力し、あえて確認をせずに次の作業へ進む練習を少しずつ取り入れる。
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目次
1. 脳の「誤作動」を止めるための具体的アクション
仕事中に強迫行為が出そうになった時、「気合い」や「根性」で抑え込むのは、ほぼ不可能です。それは脳の回路の問題であり、あなたの意志が弱いわけではありません。

「分かっているのに止められない」その辛さは、経験した人にしか分かりません。自分を責めないでください。
ここでは、精神論ではなく、物理的なアクションで脳の誤作動に対抗するテクニックをご紹介します。
① 「指差し確認」で脳に証拠を残す
頭の中だけで確認するから、記憶が曖昧になり、「本当にやったっけ?」と不安になるのです。
やり方:
- 確認対象を指で差す
- 「宛先、ヨシ!」「添付ファイル、ヨシ!」と声に出す(小声でOK)
- できれば同時に頷く
動作・音・視覚を3点セットにすることで、脳に「確認した」という強い記憶が刻まれます。これは、実際に鉄道員が使っている安全確認の方法であり、科学的にも効果が認められています。
② 「ダブルチェック」という仕組み化
自分だけの確認に自信が持てないなら、最初から「自分+他人」のセットで業務を完結させるフローを作ってしまいましょう。
「私が確認すると止まらなくなることがあるので、最終チェックをお願いできますか?」
これは、あなたが弱いから頼むのではありません。業務効率化の観点からも正当な依頼であり、ミスを防ぐためのプロの判断です。
③ 不潔恐怖には「マイツール」で対抗
共用の物に触れるのが辛いなら、戦わずに「避ける」戦略を取りましょう。
- マイキーボード・マイマウス: 自分専用のものを持ち込む
- マイスマホ・マイペン: 共用のものに触らなくていい環境を作る
- 使い捨て手袋・除菌シート: 必要に応じて使えるよう、常に持っておく
「感染症対策に気を使っている人」というキャラで通せば、全く不自然ではありません。「普通でいなきゃ」という縛りから自分を解放してあげましょう。
④ 曝露反応妨害法(ERP)の考え方
専門的な治療法として「曝露反応妨害法(ばくろはんのうぼうがいほう)」があります。これは、あえて不安を感じる状況に身を置き、確認行為をしない練習を繰り返すことで、脳の回路を書き換えていく方法です。
自分一人では難しいので、カウンセラーや医師と相談しながら、少しずつ取り組んでいきましょう。アイデンドでも、日々の作業の中でこの練習をサポートしています。
2. 職場への伝え方:「正確さ」という強みとして特性を伝える

強迫性障害をカミングアウトするか迷う場合は、「特性」として伝える方法が有効です。
> 伝え方の例:
> 「私は細かい部分が気になりすぎて、確認に時間をかけすぎてしまう癖があります(正確性へのこだわり)。
> 期限を守るために、誤字脱字のチェックは『ここまで』という基準を指示していただけると助かります」
これなら、病気の話をせずに、必要な配慮(リミットの設定)を引き出すことができます。
3. 具体的な事例・ケーススタディ
事例:Eさんの場合(30代 男性)
- 悩み: 書類の誤字脱字やPCのシャットダウンが気になり、何度も「確認」を繰り返してしまい、一つの業務に数時間かかっていました。
- 変化: アイデンドで「確認は1回まで」というルールを、スタッフが見守る中で実践. 不安をコントロールする認知行動療法を取り入れた結果、確認の回数が激減し、現在は標準的なスピードで事務作業を行えるようになっています。
4. あなたは当てはまる?セルフチェックリスト
読者が自分事として捉えられるよう、簡単なチェックリストを設けます。
- [ ] 「ミスがあるかも」と不安になり、何度もメールや書類を見返してしまう
- [ ] 戸締まりやスイッチの確認で、家を出るのに時間がかかる
- [ ] 自分が決めた「完璧な手順」通りでないと、強い不安を感じる
- [ ] 確認行為に時間を取られ、本来の業務が進まなくて困っている
ひとつでも当てはまる方は、ぜひ一度ご相談ください。
5. アイデンドでのサポート
アイデンドでは、強迫性障害のある方が、無理のない範囲で業務トレーニングに取り組めるようサポートしています。
現場では、「確認を減らす」ことを急ぎすぎると、かえって不安が強くなって通所自体が重くなることがあります。アイデンドでは、回数をいきなりゼロにするのではなく、「今日はここまでで止めてみる」という小さな成功体験を積み上げます。
- 認知行動療法のサポート: 専門機関と連携し、日々の活動の中で「不安と付き合う」ためのサポートを行います。
- 疑似業務での確認抑制練習: 実際の事務作業を通じて、「確認を終えて次へ進む」ためのハードルを少しずつ下げる練習を行います。
スタッフからのワンポイントアドバイス
> スタッフより
> 「もう一回見たい」という衝動は非常に強いものですが、そこを一回こらえることが、脳の回路を書き換える第一歩になります。私たちが横にいて「大丈夫だよ」と声をかけますので、一緒に「確認なし」の小さな冒険をしてみましょう。
まとめ
強迫性障害(OCD)は、あなたの真面目さや責任感の強さが、少しだけ「暴走」してしまっている状態かもしれません。
- 確認の「上限」を決め、それを守る練習をする。
- 「不安なままでも大丈夫」という感覚を少しずつ養う。
- 周囲の助けを借りて、確認の負担を分担する。
焦らず、一歩ずつ。あなたが本来持っている力を、確認行為ではなく、新しい価値を生み出すために使えるよう、周りと協力して環境を整えていきましょう。
アイデンドは、八戸・十和田地区を中心に、一人ひとりの「自分らしさ」を大切にする就労継続支援B型事業所を展開しています。また、クリエイティブな活動を支援する「manaby CREATORS」ブランドを通じて、Web制作やデザインなど、従来の枠にとらわれない新しい働き方の選択肢も提供しています。地域の皆さまと共に、一歩ずつ未来へ歩んでいける場所でありたいと考えています。
よくある質問(FAQ)
Q. 「確認を止めなさい」と無理やり指示されることはありますか?
いいえ、無理強いはしません. 不安の正体を理解し、あなたが納得できるペースで「確認の必要性」を減らしていくサポートを行います.
Q. どのような作業なら、OCDの影響を受けにくいですか?
一般的には、修正が容易なPC作業や、明確な完了基準がある在庫管理などが向いている場合があります. アイデンドで色々な作業を試してみましょう。
通い方や作業内容についてもう少し知りたい方は、アイデンドの事業所へお問い合わせください。利用を決めていない段階でもご相談いただけます。