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ストレングス視点:弱みではなく強みに注目する支援

はじめに(課題設定)

支援記録は、どうしても「課題」「不足」「できないこと」に偏りがちです。
もちろん課題把握は必要ですが、それだけでは利用者さんの可能性を狭めてしまいます。

ストレングス視点は、問題を無視する考え方ではありません。
困りごとを見ながらも、その人が持つ力を支援の出発点にする視点です。

ただ、現場でこれを実践するのは言うほど簡単ではありません。
私たちも、課題が目立つ時期ほど記録が不足やリスクの話に寄り、強みを見ようとしているつもりでも後回しになってしまうことがありました。

制度や評価の枠組みを押さえるだけでは、現場は動きません。利用者さんの語りとチームの判断をどうつなぐかまで設計して初めて、支援は安定します。

  • この記事でわかること:
  • 強みを見つける観察ポイント
  • 強みを目標に変える方法
  • チームでストレングス視点を共有する運用

結論:強みは「励ましの言葉」ではなく「支援資源」

強みを見つけることは、気持ちの問題ではなく実務上の戦略です。
本人ができることを足場にすると、支援は続きやすく、成果も出やすくなります。

  1. 強みを具体行動で記録する
  2. 強み起点で目標を設計する
  3. 課題支援と強み活用を同時に進める

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目次


1. 背景と課題整理

ストレングス視点が必要になるのは、
「課題対応を続けているのに本人の意欲が上がらない」時です。
課題中心の支援は短期的には機能しても、
本人の自己効力感を削ると長期継続が難しくなります。

現場で起きやすい課題

  • 記録が課題中心で本人の前進が見えない
  • スタッフごとに「強み」の定義が異なる
  • 強みが計画に反映されない

たとえば、遅刻改善支援で「できなかった点」だけを毎日伝えると、
本人は“何をやっても不足”と感じやすくなります。
一方で「今週は2回、予定時刻前に準備できた」という事実を拾うと、
本人が再現可能な成功行動として扱えるようになります。

強みはポジティブ表現ではなく、
再現可能な行動として定義した時に、支援資源として機能します。

強みが見えにくい場面の例

  • 課題が大きいケース: 問題対応に追われ、前進の記録が抜ける
  • 支援者交代時: 強み情報が引き継がれず、支援が課題中心に戻る
  • 評価会議時: 成果指標が課題改善だけに偏る
ストレングス視点に関する現場の課題や背景を整理し、支援員が現状を分析・観察している図解またはシーン。
ストレングス視点に関する現場の課題や背景を整理し、支援員が現状を分析・観察している図解またはシーン。

2. 実装手順(現場導入フロー)

Step 1: 強みの観察軸を決める

  • 継続できている行動
  • 自発的に行った工夫
  • 周囲に良い影響を与えた行動

観察軸を定義する際は、行動として見えるか を基準にします。
「優しい」ではなく「困っている人に作業手順を説明した」のように記録します。

Step 2: 記録フォーマットを整える

日誌に「強み観察欄」を追加し、毎日1件は記録する運用にします。

最初は負担を増やさないために、1行記録から始めるのが実務的です。
例: 14:20 迷っていた利用者に、本人から声をかけて手順を共有した

ここで大切なのは、強みを褒め言葉で終わらせないことです。
「優しいですね」で終わると支援にはつながりませんが、「困っている人に自分から手順を共有した」と書ければ、次の役割設定や作業配置に生かせます。

Step 3: 目標化する

例:

  • 観察: 「作業手順を自分でメモして実行できた」
  • 強み: 「自己管理力」
  • 目標化: 「新しい作業でも手順メモを作成し、週3回実施」

強み目標は、課題目標と並列で置くと効果が出やすくなります。
「できないことの改善」と「できることの活用」を同時運用してください。

Step 4: 会議で共有する

週次会議で「強み起点の支援案」を1件以上取り上げると、視点が定着します。

Step 5: 本人フィードバックを定例化する

面談で強みを伝える際は、抽象評価ではなく場面で伝えます。
例: 「昨日、混乱した時に自分でメモを見直せたのは大きな強みです」

この具体フィードバックが、本人の再現行動を増やします。

ストレングス視点の解決に向けたフローや手順をタブレット・ホワイトボードで確認する支援チームの様子。
ストレングス視点の解決に向けたフローや手順をタブレット・ホワイトボードで確認する支援チームの様子。

3. ケーススタディ(事業所事例)

事例:F事業所(導入前→導入後)

導入前は、面談で本人から「できていないことばかり言われる気がする」と受け止められたことがありました。
そこから、支援者側は課題改善を意図していても、本人には“否定が続く時間”として届くことがあると気づき、記録とフィードバックの見直しが始まりました。

  • 導入前の課題: 課題改善中心で、本人が支援に前向きになりにくい
  • 実施内容:
  • 強み観察欄を記録様式に追加
  • 週次会議で強み共有を固定議題化
  • 個別支援計画に「強み活用」項目を追加
  • 導入後の変化:
  • 本人の自己効力感コメントが増加
  • 作業継続率が改善
  • スタッフの支援提案が具体化
  • 成功要因: 強みを抽象語でなく、行動として扱えたこと
ストレングス視点のケーススタディ。利用者と支援員が面談し、具体的な支援策が機能して前向きになっている様子。
ストレングス視点のケーススタディ。利用者と支援員が面談し、具体的な支援策が機能して前向きになっている様子。

4. 監査・品質チェックリスト

  • [ ] 強みを行動レベルで記録している
  • [ ] 強みが支援計画に反映されている
  • [ ] 課題支援とのバランスが取れている
  • [ ] 本人へ強みフィードバックを行っている
  • [ ] 会議で強み共有の時間が確保されている

5. KPI・評価指標(運用の見える化)

指標 定義 目標値 計測頻度
強み記録率 日誌で強み観察が記録された割合 85%以上 週次
強み反映率 計画に強み活用目標が設定された割合 90%以上 月次
自己効力感向上率 本人面談で前向き発言が増加した割合 前月比増加 月次

6. よくある失敗と回避策

失敗パターン1: 強みを抽象語で終える

「優しい」「真面目」だけでは支援に使えません。
必ず行動レベルに翻訳してください。

失敗パターン2: 課題を見なくなる

ストレングス視点は課題無視ではありません。
課題支援と強み活用を並行することが前提です。

失敗パターン3: 一時的なキャンペーンで終わる

記録様式と会議議題に組み込まないと定着しません。
運用ルール化が必要です。


7. 法令・ガイドライン参照

  • 障害者総合支援法(個別支援計画)
  • 指定障害福祉サービス運営基準
  • ストレングスモデル関連実践資料

まとめ

強みに注目することは、本人を甘やかすことではなく、支援の精度を上げることです。
できることを足場にした支援は、本人にもスタッフにも継続しやすい形になります。

  1. 強みを行動で捉える
  2. 計画へ反映する
  3. チームで言語を揃える

「ストレングス視点:弱みではなく強みに注目する支援」は、完璧さより継続運用を優先した方が現場に定着しやすいテーマです。日々の実践で得られた気づきをチームで共有し、次の改善を一つずつ積み上げていきましょう。

アイデンドは、八戸・十和田地区を中心に、一人ひとりの「自分らしさ」を大切にする就労継続支援B型事業所を展開しています。また、クリエイティブな活動を支援する「manaby CREATORS」ブランドを通じて、Web制作やデザインなど、従来の枠にとらわれない新しい働き方の選択肢も提供しています。地域の皆さまと共に、一歩ずつ未来へ歩んでいける場所でありたいと考えています。

よくある質問(FAQ)

Q. 強みが見つからない場合はどうすればよいですか?

「苦になりにくい行動」から拾うと見つけやすくなります。大きな強みを探すより、日常で続いている行動を記録すると支援に使える材料になります。

Q. 課題の大きいケースでも有効ですか?

有効です。課題が大きい時ほど、強みを足場にした方が本人の自己効力感を保ちやすく、支援の継続率も上がりやすくなります。

Q. 本人が自分の強みを否定する時は?

無理に同意を求めず、事実ベースの小さな成功を共有してください。「できた場面」を積み重ねると、自己認識は少しずつ変わります。