はじめに
「法定雇用率が上がるから、障害者を雇わなければならない…」
「現場の負担が増えるだけではないか?」
障害者雇用に対して、このような「義務感」や「不安」をお持ちの企業担当者様もいらっしゃるかもしれません。
しかし、障害者雇用は適切に取り組めば、企業にとって大きな経営メリットをもたらします。
この記事では、障害者雇用を「コスト」ではなく「投資」と捉え直すための3つのメリットについて解説します。
- この記事でわかること:
- 活用できる主な助成金制度
- CSR(企業の社会的責任)と企業価値の向上
- 業務切り出しによる組織全体の生産性向上
結論:障害者雇用は「義務」ではなく、組織を強くする「チャンス」
- 助成金を活用し、採用・定着コストを軽減できる。
- ダイバーシティ(多様性)への取り組みが、企業ブランドを高める。
- 業務を見直すことで、社員全体の働き方改革につながる。
目次
1. 経済的なメリット:充実した助成金制度
障害者を雇用する企業に対しては、様々な助成金が用意されています。これらを活用することで、設備投資や指導員の配置にかかるコストを補うことができます。
主な助成金
- 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース):
- ハローワーク等の紹介で障害者を雇い入れた場合に支給されます。
- 支給額(中小企業の場合):重度身体・知的障害者等は240万円(3年)、それ以外は120万円(2年)など。
- 障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース):
- 職場定着のための支援(柔軟な勤務制度の導入など)を行った場合に助成されます。
- トライアル雇用助成金:
- 3ヶ月間の試行雇用(トライアル雇用)を行った場合に支給されます(月額最大4万円)。

2. 社会的なメリット:CSRと企業価値の向上
SDGs(持続可能な開発目標)への関心が高まる中、障害者雇用への取り組みは、企業の評価に直結します。
企業ブランドの向上
「多様な人材が活躍できる会社」という姿勢は、投資家、取引先、そして消費者から好意的に受け止められます。
特に、「誰もが働きやすい職場」というイメージは、優秀な人材(障害の有無に関わらず)の採用にもプラスに働きます。
法令遵守(コンプライアンス)
法定雇用率(2024年4月から2.5%)を達成することは、企業としての基本的な責務です。
さらに、2026年7月には2.7%への引き上げが決定しており、早めの対策が求められます。
未達成の場合、納付金の支払いや、場合によっては企業名の公表などのリスクがあります。
3. 組織的なメリット:業務の「戦力化」と効率化
障害者雇用を成功させるためには、業務の「切り出し(タスク・ブレイクダウン)」が必要です。
このプロセス自体が、組織全体の生産性を向上させます。
業務の棚卸しとマニュアル化
「誰にでもわかるように仕事を教える」ためには、業務フローの整理やマニュアル化が不可欠です。
これにより、属人化していた業務が見える化され、誰でも担当できる業務が増えます。
コア業務への集中
書類整理、データ入力、清掃などの業務を障害のある社員に任せることで、他の社員がより高度な判断を要するコア業務に集中できるようになります。
結果として、組織全体のパフォーマンスが向上します。
まとめ
障害者雇用は、単なる数合わせではありません。
- 助成金でコストを抑えつつ、
- 社会的信頼を獲得し、
- 業務効率化を実現する。
これら3つのメリットを最大化するためには、「どんな業務を任せるか」「どんなサポートが必要か」を事前にしっかり設計することが大切です。
4. 具体的な事例・ケーススタディ
事例:IT企業A社(従業員50名)の場合
- 課題: エンジニアが事務作業に追われ、開発に集中できない状況でした。
- 取り組み: 精神障害のある方を2名採用し、データ入力や資料作成、備品管理などのバックオフィス業務を切り出しました。
- 効果: エンジニアの残業時間が減少し、開発スピードが向上。採用した2名も、静かな環境で集中して作業できるため、高い精度で業務を遂行し、貴重な戦力となっています。
5. 採用担当者向けチェックリスト
- [ ] 自社で切り出せそうな業務(単純作業、定型業務など)はあるか?
- [ ] 活用できる助成金について調べたか?
- [ ] 現場の社員に、障害者雇用への理解を求める準備はできているか?
- [ ] 支援機関(ハローワーク、就労移行支援事業所など)とのパイプはあるか?
6. アイデンドでのサポート
アイデンドでは、企業様からのご相談も受け付けています。
- 実習の受け入れ: 雇用前のミスマッチを防ぐため、職場実習の受け入れをご提案しています。
- 定着支援: 採用後も、ご本人と企業様の間に入り、安定して働けるようサポートします。
スタッフからのワンポイントアドバイス
スタッフより
「何から始めたらいいかわからない」という企業様も多いです。まずは、どんな仕事があるかを一緒に整理するところから始めませんか? 障害のある方の「強み」を活かせる場所が、きっと御社にもあるはずです。
Q. 初めての障害者雇用で不安です
まずは「トライアル雇用」や、短時間勤務から始めることをお勧めします。支援機関のサポートを受けながら、少しずつ体制を整えていくことができます。
Q. どのような業務を任せればいいですか?
清掃、データ入力、郵便物の仕分け、名刺スキャン、備品管理などが一般的ですが、ご本人のスキルによっては、プログラミングやデザインなどの専門業務を任せることも可能です。
お問い合わせ
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アイデンドでは、障害のある方と企業様をつなぐ架け橋となります。
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